医院・診療所という場所は血圧や糖尿病、高脂血症等の慢性疾患に限らず、頭痛、腹痛など様々な訴えを最初に見ることが多い場所です。当院でも「内科・小児科」とある意味で幅広い看板を出しております。したがって一般内科がもっとも重要な分野になります。また、医院・診療所レベルで対応不可能と思われる場合は近隣の専門病院・救急病院に連絡をとり、速やかな医療・病診連携を実現することも重要です。

インフルエンザ等の予防接種も随時行っております。詳しくはお問い合わせください。

また、地域医療の一環として、市の健診や企業職場健診を積極的に行っております。







はじめに

 「胃癌」「大腸癌」という言葉はあまりにもよく知られている言葉だと思います。胃カメラや大腸カメラをやっているとよくお目にかかります。もちろんあまりお目にかかりたくは無いのですが、一口に「胃癌」「大腸癌」といっても、その患者さんによって「見つかってよかったですね」と思う場合とそうでない場合とあります。なにが違うのか。それは早期癌の状態で見つかったかどうかに尽きます。それによって予後(あるいは余命)が大きく異なってくるからです。しかし1番良いのは「何も無くてよかったですね」であることは当然です。ではどのくらいの方々がこれらの癌になっているかというと、日本では年間癌死亡全体の16%、約5万人の方が胃癌で死亡しています。男性では肺癌に次いで2番目、女性でも大腸癌に次いで2番目に多い癌です。最近の傾向としては若い人の胃癌の率が減ってきていますが逆に高齢者の胃癌が増えてきています。大腸癌は日本人に増加傾向が著しい癌です。年間罹患数(癌を発病する患者さんの数)が1990年は6万人、1999年には9万人を超えました。大腸癌による死亡は男性では2015年頃には肺癌、肝臓癌に次いで3番目になると予想されています。女性では前記のように、すでに胃癌を抜き女性癌死亡のワースト1になりつつあります。


胃癌について

 皆様は「ヘリコバクター・ピロリ菌」という変な名前を聞かれたことがありますか?現在「この菌が胃の内に住み着いている人は高率に胃潰瘍・十二指腸潰瘍を再発する」ことが分かっているため数年前からはピロリ菌を殺す「除菌治療」が保険適応になりました。話題が胃癌からずれているように思われますが実はこのピロリ菌が胃癌の発生にも少なからず影響を及ぼしていることが最近分かってきました。ピロリ菌が長く胃内に住み着いていると胃の粘膜が慢性的に炎症を起こします。これが激しいときは胃炎から胃潰瘍ができるわけですが、潰瘍が治ってもピロリ菌がそのまま住み着いていると慢性の胃炎により胃の粘膜が萎縮してしまい、この萎縮した胃粘膜が癌発生の母地となっているのです(血液検査で胃粘膜萎縮を測定する「ペプシノーゲン法」というものもありますが、まだ保険適応はないため日常診療では使用できません)。50歳以上の日本人の8割がピロリ菌を持っているといわれています。これは小児期の衛生状態が重要なのですが、一昔前は衛生状態が悪かったため子供のころに感染してしまっているのです。最近は日本の衛生状態が良くなってきたため若年層でのピロリ感染率が減ってきています。最近の若い人の胃癌の減少はこれらの要素も関係していると言われています。くれぐれも誤解の無いように申し上げますが、ピロリ菌がいる人は必ず胃癌になるのかといえば決してそうではなく、そこに塩分の多い食事、タバコ、肉や野菜のお焦げに含まれる2級アミン、遺伝的・家系的要素が重なったときに、ピロリ菌保菌者のごく一部に癌が発生し、逆にピロリ菌とは全く無関係に胃癌ができる方も少数ですがおられます。ビタミンCやカロチノイド類を多く含む生野菜(タマネギやニンニク)や果物、セレニウム元素を多く食べる方には胃癌が少ないことも分かってきました。胃癌を予防するためには新鮮な野菜や果物をたくさん摂るとともに高塩分食品を控えましょう。


大腸癌について

 大腸癌の発生に関しては環境的要素の方が大きく、遺伝的要素は約5%前後といわれています。もともとは日本人には少ない癌だったのですが食生活の急激な欧米化の伴い増加しつつあります。特に動物性脂肪やたんぱく質の摂りすぎが原因と考えられています。これは動物性脂肪による細胞分裂促進作用や動物性タンパクの加熱により発生する発がん物質によるものです。また、肥満やアルコールの過剰摂取も大腸癌発生のリスクです。こういった食生活による生活習慣病の代表選手である糖尿病の方も注意が必要です。他に、大腸癌になりやすい要因として@大腸ポリープ(大腸ポリープは、大腸カメラを受けられた方に結構な頻度で見つかります。ポリープの大半は癌になることはなくそのまま経過を見る場合が多いのですが大きさ、形などによっては切除が望ましいものもあります。)になったことがある、A血縁者に大腸癌のひとがいる、B治り難い痔瘻がある、C長い間、潰瘍性大腸炎にかかっている等があります。一方、野菜類の摂取や定期的な運動が大腸癌の発生を抑制することが認められています。またビタミンD、カルシウム、葉酸などの摂取も大腸癌のリスクを下げるといわれています。大腸癌を予防するためには赤身肉やアルコール摂取を少なくするとともに、肥満にならないようにしましょう。また、野菜をたくさん食べ、定期的に運動することも大事です。ここで便潜血検査について少しご説明しておきます。「便潜血検査は早期大腸癌を発見できるか?」。便潜血が陽性の人達と陰性の人達との両方に大腸カメラを行った場合、同じ頻度で偶発的に大腸ポリープや早期大腸癌が見つかります。また、便潜血陽性の人の大半は何も異常が見つからず肛門周囲からの一時的な出血(痔)が原因ですが、やはり進行癌は圧倒的に便潜血反応が陽性の人に多く見つかります。しかし進行癌があってもたまたま出血していないときの便を検査に出す確立が約半分あるため、2〜3回の便を提出するようになっています。当然、早期癌の状態では、まだ出血しない事のほうがずっと多いため、便潜血検査だけでは早期大腸癌の大半は見つけることができません。前記の危険因子のある方は積極的に大腸カメラをお受けになることをお勧めします。


終わりに

古来、中国では「医食同源」と言われてきました。他の病気でもそうですが、今回ご紹介した胃・大腸は当然ですが特に食べ物が毎日、直接通っていく場所です。もちろん、様々な検査や健康診断を利用し病気の早期発見に努め根治治療を目指すことが重要なのはいまさら言うまでもありません。が、やはり「予防に勝る治療なし」は「胃癌」「大腸癌」にもあてはまるのではないでしょうか。